認知症の予防・改善効果も期待できます

アートセラピーでは、ただ絵を描いたりするだけでなく、五感を使って脳の活性化や精神的な安定を促します。

例えば、果物を描く場合は、「見る」「触る」「香りを嗅ぐ」「味わう」などして、さらに効果を高めます。上手に描くことが目的ではなく、お一人おひとりがもつ創造性を刺激して、感情を自由に表現してもらうことが大切です。

また、描いた絵は作品として残るため、周囲の方と一緒に見せ合いながら、どんなことを感じながら描いたかなど、プロセスを振り返ることができます。

認知症予防に対する効果

絵を描いたりすることで創作意欲や達成感、色彩感覚をよみがえらせ、脳を活性化させることが期待できます。愛媛心理相談室で実施しているご家庭の多くの場合は、家族も一緒に参加して行うことが多いです。

本人と家族が絵を描くことを共有することで、家族間のコミュニケーションを取りやすくする効果もあります。また、絵を描くとともに、箱庭分析セラピーも積極的に取り入れています。

例えば絵の場合、今まで見えていなかった家族の一面を見ることができます。双方に新たな刺激となり、話題も生まれます。

また、子供の頃に遊んでいた風景を描いたり、昔の歌を聴いたり歌ったりすることや、思い出を語ることは回想法にもつながります。最近のことは忘れていても、昔のことは覚えているということが多いです。思い出すという作業は脳の活性化につながります。


箱庭療法も取り入れています

認知症に対しては、絵を描いたり、箱庭を作ることでご本人の心に眠っている力を引き出す効果が期待できます。また、楽しく取り組むことが、ご本人の自信や精神的な安定につながります。

さらに、昼間の活動量を増やして覚醒時間を確保することは、概日リズム(体内時計)が乱れやすい認知症の方の昼夜逆転の改善に効果的ともいわれいます。

時にはご家族と、お友だちと一緒に行うようにすると、共通の話題が生まれてコミュニケーションの機会が増えるでしょう。その結果、認知症における行動・心理症状が和らぐ場合もあります。


言語表現を介さずに行える

通常のカウンセリングは対話を通して行いますが、アートセラピーや箱庭分析セラピーでは、絵を描いたり、箱の中に物語を創って遊んだり、最終的に1つの作品を作るので、自分の気持ちを言葉として表現するのが苦手だったり、何か心の中にもやもやした気持ちがあるけれど言葉にならない、といった方でも取り組みやすいと思います。  


コミュニケーションの機会が増える

アートセラピーは、言葉を介さない自己表現を可能とします。そのため、会話が苦手な方とも非言語コミュニケーションという形で交流できる場合があります。

また、絵画・箱庭セラピーが刺激となり、日常生活での感情表現が豊かになったり、利用者様同士の交流が盛んになったりする効果も期待できるでしょう。


脳トレや身体の運動になる

アートセラピーは頭や身体を使う活動のため、必然的に脳や身体機能のトレーニングになります。

活動を行う際、上手くいかず不機嫌になる方がいるかもしれません。そのとき脳はストレスを感じていますが、それもまた脳が活性化している証拠です。楽しいだけの活動よりも効果が期待できるため、心配する必要はありません。


心がスッキリする

アートセラピーでは、内に秘めた感情やイメージなどを表現します。そのため、心がすっきりしたり、解放されたような感覚を覚えることがあります。

心にたまったモヤモヤや苛立ち、思考の癖や制限などをデトックスすることで、以前よりもポジティブになったり、笑顔が増えたりする方もいます。